保健師の資格を活かして働ける職場には、様々な種類があります。
どんな職場で働くかによって、保健師の業務も大きく異なります。
今回は、保健師の種類や職場の選び方のポイントをご紹介します。
目次(もくじ)
保健師の種類は?どこで働く?
保健師の種類は、行政保健師・産業保健師・学校保健師・病院保健師の4つに分類できます。
それぞれの種類によって、勤務形態や仕事内容が異なります。
自分のライフスタイルや希望する条件によって、保健師の種類を選ぶことが大切です。
1.行政保健師
行政保健師は地域の保健所や保健センターなど、自治体の行政機関に勤める保健師です。
保健師の70%は行政保健師で、公務員として採用されるため、安定した収入を得られるという魅力があります。
行政保健師は主に都道府県や市区町村の職員として、地域の住民の保健や福祉に関する業務に携わります。
乳幼児や妊婦、高齢者など、老若男女問わず幅広い層を対象にするため、豊富な知識やスキルが求められます。
また、地域の医療機関などと連携することも多く、コミュニケーション能力も必要です。
<関連記事>:行政保健師の仕事内容は?
2.産業保健師
産業保健師は、企業に所属する保健師です。企業の健康保険組合に所属し、従業員の健康維持に関する業務を担います。
従業員からの健康相談や、健康診断に基づく指導などが主な業務です。
また従業員のメンタルヘルスケアも、重要な役割です。ストレスチェックを行い、従業員が働きやすい環境を作ります。
所属する企業によって待遇が異なりますが、保健師の種類の中でも高待遇の職場が多いのが特徴です。
そのため離職率も低く、保健師の中では人気が非常に高い職種です。
3.学校保健師
学校保健師は、その名の通り学校に勤める保健師です。学校保健法に基づき、生徒や教職員の健康維持に関する業務に携わります。
<出典>:学校保健の充実 /文部科学省
生徒や教職員の健康管理や、メンタルヘルスのケアが仕事の中心です。
学校で働く保健師というと、保健室の先生がイメージされますが、学校保健師に教員免許は必須ではありません。
公立の教育機関で働く場合は、養護教諭の教員免許が必要ですが、私立学校や大学、専門学校で働く学校保健師であれば、教員免許がなくても大丈夫です。
4.病院保健師
病院保健師は、病院や診療所で働く保健師です。保健師の種類の中では、かなり少ない部類で、募集もそれほど多くありません。
病院保健師は、患者の健康診断の対応や保健指導の仕事が中心です。
所属している病院と、地域の保健センターや介護施設などと連携し、患者さんと医療の橋渡し役を担います。
また病院保健師は保健師業務以外にも、看護師としての業務に携わる場合が多いのが特徴です。
やりがいが大きい分、保健師の中では忙しい職場が多くなります。
保健師が職場を選ぶ時のポイントは?
保健師として長く働くためには、自分にあった職場選びが大切です。
保健師が職場を選ぶときの、ポイントをまとめました。
しっかり稼げる保健師は?
収入の多さで選ぶなら、産業保健師や病院保健師がおすすめです。
産業保健師は民間企業に所属する保健師のため、企業の規模が大きいほど高収入になる場合が多いです。
産業保健師は公務員のような給与規定がないため、会社の業績や個人の能力によって昇給も期待できます。
自分の能力を最大限に発揮して稼ぎたいなら、産業保健師がおすすめです。
病院保健師の場合、保健師業務以外に看護師業務に携わることが多く、夜勤があることがあります。
夜勤シフトに入れば手当が付くため、日勤だけの保健師よりも多く収入を得ることができます。
ハードな仕事ではありますが、保健師の資格を活かして稼ぎたい人には、夜勤がある病院保健師は人気の仕事です。
プライベートと両立しやすい保健師は?
保健師の仕事は、全体的に勤務時間が安定しています。看護師と比べて残業や夜勤が少なく、業務自体もハードなものではないからです。
なかでも行政保健師や学校保健師は残業が少なく、自分の時間を大切にしたい人におすすめです。
保健師の中でもっともプライベートとの両立がしやすいのは学校保健師です。
学校の時間割に合わせた勤務が基本なので、夜勤はなく、残業もほとんどありません。
<関連記事>:【保健室の先生】学校保健師の仕事内容は?
また行政保健師は公務員なので、勤務時間がきちんと定められています。
ただし、勤務する自治体の規模が大きい場合や、職場に保健師の数が少ないと、残業せざるを得ない時もあるようです。
事務的なスキルを活かせる職場は?
デスクワークに役立つ事務スキルを活かすなら、産業保健師が最も役立ちます。
企業で働く上で、ワードやエクセルなどのパソコンスキルは必須で、保健師の場合も例外ではありません。
事務的なスキルを持っていれば、産業保健師として就職する際に有利になります。
保健師の仕事の中でも、産業保健師は特にデスクワークが多い仕事です。
健康診断結果の集計や、資料の作成などに事務的なスキルが活かされます。
ただし、そこまで難しいスキルを求められるわけではないので、基本的な業務に関するスキルがあれば大丈夫です。
保健師の職場、選ぶ時はここに注意!
保健師の仕事は、職場によって異なるデメリットがあります。
保健師の職場を選ぶ際に注意しておきたい点をご紹介します。
倍率が高い保健師の職場は?
産業保健師や学校保健師は、非常に倍率の高い職種です。
これらの勤務先では、職場に1人しか保健師が配属されないことがほとんどです。
さらに、待遇も安定しているため離職率も低く、もともとの求人数が少ないことも影響しています。
求人でも即戦力であることを求められることも多く、優秀な人材でないと採用されない傾向にあるため、産業保健師や学校保健師は非常に狭き門といえるでしょう。
倍率の高い保健師の職場で働くためには、貴重な求人を見逃さないようにするのが大切です。
残業や夜勤がある職場は?
企業で働く産業保健師の場合、残業が発生することがあります。
企業の規模にもよりますが、産業保健師は、数百人から数千人の社員の健康管理を1人で担うケースも少なくありません。
健診の時期や、健康教室の準備がある時などは、残業となる場合もあります。
さらに産業保健師は従業員のメンタルケアも業務のひとつです。
個別に対応する従業員が増えるほど、仕事量が増加して残業が増える可能性が高まります。
一般的に保健師は夜勤の少ない仕事ですが、医療機関や介護施設で働く病院保健師は夜勤の可能性があります。
特に入院施設のある病院は、24時間体制を行っていることがほとんどです。
病院保健師は看護師業務と兼任することも多く、保健師の他の職種と比べて、勤務時間が長くなるケースが多くなっています。
人員状況によっては、病院保健師も看護師同様に夜勤シフトに組み込まれる可能性が高いです。
転勤の可能性がある職場は?
他の勤務地への転勤の可能性があるのは、産業保健師や行政保健師、そして学校保健師です。
産業保健師で特に正社員の場合は、非正規雇用と比べて支社への転勤の可能性が高いです。
また大手商社など、海外支店がある企業の場合は海外転勤の辞令が下る場合もあります。
産業保健師で転勤を避けたいなら、支店の無い企業を選ぶのがいいでしょう。
行政保健師は、所属する職場によって転勤の可能性が変わります。
各都道府県の保健所で働く保健師は、転勤する可能性が非常に高いです。
特に若手の頃は数年ごとに異動があり、引っ越しを余儀なくされる場合もあります。
さらに、行政保健師は災害時に被災地に派遣されるケースもあり、有事の際は現地で災害支援活動を行います。
小規模な市区町村に所属する行政保健師であれば、転勤の可能性は少ないです。
また、公立学校に勤務する学校保健師は、定期的に転勤の可能性があります。
学校保健師で転勤を避けるなら、ほぼ転勤の可能性がゼロである私立学校への勤務がおすすめです。
- 保健師は行政保健師・産業保健師・学校保健師・病院保健師の4種類
- 収入の多さで選ぶなら、産業保健師や病院保健師がおすすめ
- 行政保健師や学校保健師は残業が少なく、プライベートと両立しやすい
- 産業保健師はパソコンや事務的なスキルが必須
- 産業保健師や学校保健師は人気が高く、倍率も高い
- 職場によっては残業や夜勤、転勤の可能性がある
